[ 新月伐採 ]

立木は必要な時にいつでも伐れるわけではない。
「伐り旬」という伐採に適した時期があるのだ。

春から夏は木が育つ時期であり、水を吸い上げ虫が付きやすくなる。この時期を避けた8月後半〜2月頃(10月〜2月説も有)が「伐り旬」と言われているらしいが、最近『新月伐採』という新説が出てきている。

『新月伐採』とは、オーストリアのチロル地方で製材・建築業を営むエルヴィン・トーマ氏により広まり、日本でも最近話題になっている。冬季の下弦〜新月の間に伐った木は「カビにくい」「虫がつきにくい」「割れにくい」「狂いが出にくい」という説だ。実際にそれなりにデータも出ているらしい。

我が家の新築計画に立ち木伐採を取り入れると話が進んでいた時に、研究会でも『新月伐採』の話が出た。しかし配られた資料に「長期間の葉枯らし」という記述があったため、メンバーの方々から疑問の声が上がったのも事実である。

なぜなら、杉の場合は確かに葉枯らしをすることによって品質が良くなるが、ヒノキの場合には葉枯らしはデメリットがある。資料には樹種が書いていなかったために「この新月伐採というのは杉を対象にした方法なのか?」という疑問があったのである。他にも調べてみると伐採時に樹木を谷側に倒すというルールがあることがわかった。

「長期間の葉枯らし」
葉枯らしとは、伐採後に枝葉を付けた状態で山に倒したまま乾燥するコトを云うのだが、ヒノキなど長期間の葉枯らしに向かないと言われている樹種もある。(変色を起こすらしく、早く枝葉を落とした方が良いらしい)
「伐採時に樹木を谷側に倒す」
これは山が急な地形である日本ではかなり危険なことだ。(木が滑り落ちて事故になる可能性がある)そして、日本では山側に倒す方が早く水分が抜けるとされてきた。

オーストリアとは全く山の地形が異なる日本で、果たして新月伐採に効果があるのかどうかは不明。「新月伐採?迷信だよ」と笑う人も少なくない話である。

結局、我が家に使う木材に関して、新月伐採のメリットは謎だが、日本でも伐り旬は冬季であり、「デメリットはない」ということから「新月に伐採をしてみよう」ということに決まった。伐採日は2005年11月2日と12月2日。

だが厳密には「新月伐採」ではない「新月の日の伐採」だ。倒す向きは通常と同じ山側だから。そして、12月に行われたヒノキの伐採は全く新月伐採ではない。先に述べたように、「ヒノキに長期間の葉枯らしは向かない」・・・との意見が多かったので、山の作業スケジュールに合わせた12月7日に行った。

ちなみに私は、あまり新月伐採には興味がなかったのだが、12月2日に北山杉の伐採に立ち会えたので、良い記念になった。

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